パーム・スプリングス 感想

ちょいと毛色の違うループもの。

 

 

11月9日の朝からスタートして、寝るまたは死ぬとリセットされてスタートに戻る。

ループに閉じ込められて云々という作品は数多くあるけれど、この映画はそのループ世界に既にループを認識しているキャラクターがいる、という設定が面白かった。

妹の結婚式だけどあまり良い気分になれない姉の「サラ」。会場で出会ったちょいと俗世離れした雰囲気のアロハ男「ナイルズ」と良い感じのムードになるが、その後なんやかんやあって「サラ」はループに閉じ込められる。

で、すぐさま「ナイルズ」による状況説明が始まるのだ。

「ナイルズ」はこのループに開き直っている。毎日がリセットされる、というのはつまり何をやっても良いということ。好き放題しながら永遠に楽しく過ごすことができる。それの何が悪いのか。とても良いじゃないか、とそんな具合。

うん、確かにそうだ。

最初こそループから抜け出そうと色々試みる「サラ」だけど、次第に「ナイルズ」とこの世界を満喫するようになる。

で、そこから色々ありながらさあどうするよ、というのがこの映画の大筋になっている。


はい。コレ、すげえ面白い。

ジャンルとしては恋愛もので、この点、自分は微塵も興味が無い。

んだけど、味付けは結構ワイルドで、こういう感じなら楽しく見られる。そもそもループものという設定の時点で興味をそそられるし、その閉ざされた世界を思う存分好き勝手に満喫する2人はとても楽しく描かれている。

最高!

で、そんな映像を見ているうちに、あなたはどういう生き方をしたいですか?というような本質的な問いかけが差し込まれてくるワケだ。

いやあとても良いバランス。


本作では「ナイルズ」と「サラ」に加えてもう一人、この世界を認識している「ロイ」という老人が登場する。で、この老人は「妻と子どもと一緒に何てことない普通の毎日を送る。それはとてもかけがえの無いことなんだ。」というようなことを言う。

なるほど、それも大変うなずける。

ループを認識している3人は、各々さまざまな場面で色々な人生観を話す。どれも一理あるから、それを踏まえてじゃあ何が良いんだろうかと考えてしまう。


おちゃらけた雰囲気全開で楽しませてくれるだろう、という期待には十二分に応えてくれ、加えて予想外の深みまであった。大満足であるー!