さんかく窓の外側は夜 感想

平手友梨奈さんを見に行こう、というのが動機。
原作漫画は未読で全く知らないけど、一本の映画として楽しく見ることができました。

 

 

霊が見える能力を持つ『三角康介』が主人公。
『三角』は除霊師『冷川理人』にその能力を見出されて、『冷川』が運営する除霊事務所の助手として活動をしていく~~というお話。


まず良かったのは、

作中で登場する「霊」とか「呪い」とかそういうオカルト的な要素を、お話の舞台装置・メタファーとしてさっぱり割り切って活用していたところだと思う。


で、これがとても分かりやすい。

主人公は幼少期に暴言を受けたときの記憶を何度も振り返るし、「言霊」の説明は出てくるし、ツイッターで「#死ね」なんて検索して「……はぁ」ってなっちゃうし、「霊より人間の方が怖いのは当たり前だろ?」なんてセリフもでてくるし、最後の最後に至っては呪いの鎖の形状が明らかに「死ね」とか「呪い」とかそういう文字になっちゃってるし。などなど、その他、新興宗教のシーンとか色々あるけど、まぁ総じてもう、こんな具合。

つまり「言葉」そのものが持つ「力」であったり、「言葉」から生まれる「信じる」ということが持つ「力」であったり、そういうのって実際すんげえパワーあるのよ、というメッセージがそのまま「霊」とか「呪い」という形で具現化していて、で、これが物語を動かしていく。


(ところで、こういうさっぱりした割り切りは2時間という枠組みで描く物語の作り方として重要だと思う。変に超常現象を説明しようとしちゃうと、どうしても色々お粗末になってしまう。だったら最初から細けぇこたぁいいんだよの精神で良いじゃーないですか。私は霊が見えます!私は除霊ができます!私は呪いをかけられます!そのシステムの理由はいらんのです。そういうものなんですで良いんです。まぁそういうのはお話に関係ないので戻ります)


さてこの、「言葉」「信じる」パワーが悲惨な影響を及ぼすんだぞ、というメッセージに反して、『半澤』刑事という登場人物とクライマックスの解決パートがとても面白いす。

 

『半澤』刑事。彼はオカルトの類を「信じない」タイプの人間なんだけど、そしたらこの人、「呪い」が効かないんですよ。え、そんなもんなの??ってなる。
「呪い」かけてる張本人も驚いてるんだから面白い。


で、クライマックスの解決パート。あーだこーだあった末に解決してみればそこは真っ白な小ぎれいな部屋。今までの全部妄想だったんじゃね?的にも取れるこういう終わり方。

つまるところ、「言葉」「信じる」パワーってすごく悲惨な方にも行くんだけど、とはいえ、心の持ちようとか捉え方とかそういうので揺れ動くくらいの物なんだぞ、と。そういう「救い」のメッセージが込められているんじゃないかと思ったり。この考え方は僕の好み。

最後らへんの『三角』と母親の会話シーンとか、ほんと「軽い」。この抜け感が良い。


でーようやく最後の最後。このラストシーンもとても良かった!

エンドロール突入直後、つまり映像が途切れる瞬間からの0.5秒をどう想像するかで、『非浦英莉可』がこの一件を踏まえてどうなったか、というのに繋がっているわけで、こういう、結末の一部をこちらにちょいと委ねる感じが楽しいです。

(全部委ねられるアーティな感じだと困っちゃうからね)


そんな感じ。とても良かった!!

 

ところで、もとの動機であった『非浦英莉可』を演じる平手友梨奈さんについて。

やっぱりなんというか彼女はすごい。
痛いように見えてしまうキャラクターに納得感を持たせてしまう説得力の高さがとにかくすさまじいです。これを若干14歳の『サイレントマジョリティー』から貫き通しているんだからもうたまらない。そりゃあ漫画原作の映像化で引っ張りだこなのも自然な流れだと思います。

次の出演作であるファブルは延期してしまったのでのんびり待ちましょう。